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君の知らない玉手箱

溶けそうで溶けない、アイスクリイムのようなブログ。

アルトネリコ 二次創作 クロア×ジャクリ後日談SS            ~世界の頂上でシアワセを詩う彼女~  第2話

オリカというレーヴァテイルの家に宿泊することにした俺たちは、
それぞれ自己紹介をした。

「クロア・・・お前は恐ろしいやつだな」

ジャックと名乗った青年が言った。

緑色の帽子とマントを羽織り、右腕に義手を付けている。

「あのミュールを落せる男がいるとは思わなかったぜ」

「馬鹿なことを言わないで頂戴」

即座に反応したミュールは、ジャックを睨みつける。

しかしジャックはそれを無視して、俺に問いかけた。

「いったい、どんな手を使ったんだ?」

「だから・・・・・・」

「あ、それ俺も聞きたい!」

割り込んだのは、金髪の少年、ライナー・バルセルトだ。

シュレリア様を守護するエレミアの騎士であり、彼をリーダーとして
ミュールと闘ったらしい。

「今だって、シュレリア様があんなに言っても聞かなかった服を着てるしさ」

「・・・クロアがうるさいからよ」

「私の言うことは聞かなくても、クロアさんには従うんですね・・・」

ジト目でシュレリア様はミュールを睨んだ。

「ちょっとライナー、あまり興味本位で詮索したらダメよ」

ミシャ・アルトセイク・リューン。胸の開けた青い服を着て、
頭には太鼓のような髪飾り。

切れ長の瞳が彼女の美貌を引き立て、グラマラスな体つきをしている。

彼女もレーヴァテイルで、ライナーの幼馴染らしい。

「アル兄ぃもよ。クロアが困ってるじゃない」

「あ。いや、俺は別に・・・」

「でもよ、ミシャは気にならねぇのか?」

「え!?それは・・・えと・・・」

ちらっとライナーを見るミシャ。

「アヤタネはどう思う?」

銀の長髪。赤く染められた鎧を着けて、腰には二振りの刀。

そして、いつも崩さない微笑み。

ミュールの横にいる少年は、俺が彼女のコスモスフィアで出会った
心の護にそっくりだった。

「僕は母さんが幸せになってくれれば、それで十分だよ」

「アヤタネ、余計なことは言わなくていいわ」と、ミュール。

「クルシェは何してるんだ?」

クルシェと呼ばれた少女は、俺の武器を手に取り眺めていた。

彼女は、機械に通じるメカニックらしい。

「これ面白いね。槍としてだけじゃなくて、銃の機能も付いてる。
 わ、バーニアまで!乙女心に溢れてるね」

クルシェ・・・お前もか。その乙女心は、やっぱり俺にはわからない。

「メタ・ファルスはこんな武器を売ってるの?」

「いや、俺のは知り合いの武器屋の女の子に作ってもらった特注品なんだ」

「シンシアね。あんなぶっとんだ子、初めて見たわ」

「否定はしないけど、お前に言われたくないと思うぞ」

俺のツッコミは完全に無視して、ミュールはクルシェに言った。

「でも、うかつに触らないほうがいいわよ。バーニアをフルパワーにしたら、
 壁を突き破って死の雲海まで飛んでいくからね」

青ざめたクルシェは、さっと手を離した。

「気をつけろよクルシェ。壁を修理するの、大変なんだからな」

「えと・・・ライナー、そっちなの?」

「そんなこたぁどうでもいい。どうやって告白したんだよ?」

改めて聞かれると恥ずかしいな。しかし、大切な人に想いを伝えた
あの瞬間を、否定も誤魔化しもしたくない。

だから、正直に言った。



「ヒュムノス語を使って、詩を謳ったんだ」



「ええ~~~~~~~~~~っ!?」 


身を乗り出すミシャとシュレリア様。

「お前すげぇな・・・」  

ジャックすら、目を白黒させて呆然としている。

「それに比べて・・・」  

ため息混じりにライナーを見るレーヴァテイル二人。

「な、なに?」

困惑するライナーだが、その様子が彼女たちの怒りを買ったらしい。

「知りません!」  

二人の声がシンクロした。

「もういいでしょう?それより、ヴィオラ森はどうなってたのよ」

「おお、それが見たことない凶暴な魔物がわんさかいて大変だったぜ」

「ジャックは油断してやられそうになったんだよね」

「うるせぇ」

凶暴なモンスター、か。俺が倒したやつもその仲間だったのだろか。
一般人では手も足も出ないだろう。

「念のため、ラードルフさんに報告したほうがいいかもしれませんね」

俺とミュール以外のみなが頷いた。

ラードルフって誰だろうな。






運ばれてきた料理を食べ終わる。

「デザートはドッコイパへと焼肉ソーダだよ」

オリカが持ってきたのは、巨大なパフェと・・・

「焼肉ソーダ?」

ソーダが入ったコップのふちに、焼肉が乗っかっている。

「私の特製なんだよ」

「へぇ、変わってるな」

「あれ、意外と驚かないのね。私は初めて見た時、衝撃だったけど」

目を丸くするミシャ。

「ソーダインバーガーを知ってるからな。これくらいじゃ・・・ったぁ!」

テーブルの下で、ミュールが俺の足を思い切り踏みつけた。

「ソーダインバーガー!?な、なにそれ」

「い、いや、何でもない」

涙目になって否定する。

ちなみにソーダインバーガーとは、バーガーにソーダを挟んだ
ミュール特製トンデモ料理である。

正直アレに比べたら、焼肉ソーダなんて可愛いものだ。

「そうだ、忘れてたわ。ライナーにお土産があるのよ」

そう言ってミュールは、小さな箱を取り出した。

「はい、ライナー」

「ミュ、ミュールが俺に?」

おっかなびっくり、お礼を言いつつ箱を開けるライナー。

中から出てきた物は・・・

「オボンヌじゃないか!」

喜色満面で取り出す。だが、不意に眉を寄せた。

「あ、あれ?なんかヘンだぞ」

「ご明察。それはオボンヌじゃなくて、メタ・ファルス名物オボンタよ」




「パクリじゃないかっ!!!」




「きゃっ!」

ライナーは食卓をドンっと叩く。まるで鬼のような形相だ。

「誰なんだこれを作ったやつは!叩っ切ってやる!」

「クロア、説明してあげなさい」

「え、えっとだなライナー。それは銘菓オボンタと言って、
 メタ・ファルスでは昔から親しまれていてだな」

「つまり、オボンヌこそオボンタのパクリなのよね」

「そうは言ってないだろ!?」

わざと火に油を注ぐミュール。

「メタ・ファルスに行ってくる!」 

ライナーは剣を抜き、駆け出した。

「ばか、落ち着けって!」 

ライナーを羽交い絞めして止めるジャック。

「第一、お前メタ・ファルスの場所知らないだろうが」

「あ・・・・・・」 

しゅん、とライナーは縮こまる。

「ライナーは本当にオボンヌが好きなんだな」

「ライナーは僕が世話しなければ、1ヶ月をオボンヌだけ食べて
 生活する人だからね」

アヤタネは微笑みを崩し、ため息をついた。どうやら相当苦労したようだ。

「私、なんでこんなオボンヌ男に負けたのかしら。腹立たしくなってくるわ」

「ご、ごめん」 なぜか謝るライナーであった。

「ところで、母さんとクロア君に聞きたいことがあるんだけど」と、
 アヤタネが言う。

「何よ?」





「母さんとクロア君は付き合ってるんだよね。それなら、
 僕はクロア君を“父さん”って呼んだ方がいいのかな?」




・・・ソーダを飲んでいた者全員が、吹き出した。







「ふぅ、疲れたな」 先に部屋に入った俺は、ベッドに横になった。

あの後、メタ・ファルスのことについて質問攻めにあったのだ。

「俺もソル・シエールのこと色々聞きたかったんだけどな」

まぁいいか、と思い直す。自分の目で、この世界を見てみよう。


ミュールと、一緒に。


「ん?」

部屋の扉がノックされ、扉を開けるとそこにいたのは意外な人だった。

「シュレリア様?」

「夜分遅くにごめんなさい。お話したいことがあるのですが、
 よろしいですか?」

「はい、どうぞ」 シュレリア様を招き入れる。

「お話とは何でしょうか?」

「クロアさん、エレミアの騎士になりませんか?」

「騎士に?」

「失礼ですがクロアさんは、まだソル・シエールに来られたばかりなので
 生活のあてが無いのではと思います」

そう、それは大きな問題だった。向こうから持ってきたお金はあるのだが、
いずれそれも尽きる。

生活のために、働こうと思っていたのだ。

「騎士になれば衣食住は保障されます。当然それなりの危険も
 付きまといますが・・・」

「なるほど・・・どうすればなれるのですか?」

「実技と筆記の試験を受けねばなりません。
 クロアさんはかなり腕がたつご様子なので実技は大丈夫でしょう」

「問題は、筆記か」

学力には自信があるが、今日訪れたばかりの俺にソル・シエールの歴史を
問われてもお手上げだ。

「ここだけの話ですが、実は筆記はそんなに難しくありません。
 ライナーは一夜漬けでパスしたそうですし」

「・・・そんな簡単に通っていいんですか?」

「ま、まぁ知識だけでは平和を守ることはできませんから」

・・・みもふたもないな。俺は大聖堂の騎士になる時、
一年前から勉強してたのに。

それはともかく、悪くない提案だろう。騎士なら、
向こうにいた頃の経験も役立つはずだ。

「俺、試験を受けます」

シュレリア様はパッと顔を輝かせる。だいぶ俺を買ってくれてるようだ。

「それでは後日、プラティナに来てくださいね」

「わかりました」

「クロア、入るわよ」 再び扉が叩かれ、入ってきたのはミュールだった。

「なっ・・・・・・!」 

シュレリア様の姿を認めたミュールの顔が引きつる。

「二人でこんな遅くに何をやってるの?」

「ま、待て・・・変な誤解するなよ?」

「私、何も言ってないじゃない。やましいことでもあるのかしらね」

貼り付けた笑みが恐ろしい。

「私がクロアさんに騎士にならないかと勧めたんです」

「・・・それだけ?」

「ああ」

「本当に?」

「心配しなくても、クロアさんを盗ったりしませんから」

「そ、そんなこと聞いてないわよっ!」

顔を真っ赤にしてあわてふためくミュールに、
俺とシュレリア様は笑いあった。

「それで、どうしたんだ?」

「も、もういいわ。それじゃ」

「あ、ミュール」

部屋を出て行く背中に声をかける。

「おやすみ」

「・・・おやすみなさい」 

扉がしまり、足音が遠ざかっていった。

「それでは私もこれで」

「はい、おやすみなさい」  

シュレリア様も一礼して出ていった。





「ミュール、待ってくださいよ」

うるさいのが後ろから追いかけてきた。

「断るわ」

「まだ怒ってるんですか?」

シュレリアは私の前に回りこむ。

「怒ってなんかないわよ。それよりあなた、
 クロアを騎士団に誘うなんて何を企んでるのよ」

「企むって、ミュールじゃないんですから・・・」

「まさかあなた・・・クロアが騎士団にいれば、そうそう私も
 悪事を働かないだろう、なんて思ってないでしょうね?」

「あら、何のことですか?」

「・・・まったく」

私はため息をついた。しかしシュレリアは真剣な表情で、私を見つめる。

「ねぇ、それより・・・クロアさんは、昔のことを知ってるんですか?」

「・・・さぁ、ね」

恐らく、クロアが知っているのは、彼が私のコスモスフィアで見た断片的なことだけだろう。

私が過去に犯した大罪・・・それは、まだ知らないはずだ。

「・・・話すんですか?」

「そんなわけないでしょう?私には何のメリットもないし、
第一思い出したくもないわ」

しかし、忘れようとしても、目を背けようとしても、過去は常に付きまとう。

いずれ、クロアは知ってしまうだろう。

その時彼は、私を軽蔑するだろうか?

「っ・・・」  

胸が、痛い。

私、クロアが離れていくことを恐れている・・・?

「・・・らしくないわね」 

自嘲する。 

かつては魔神と呼ばれた私が、たかが一人の人間に頭を悩ますとは。

「クロア・・・」

つぶやきは、闇に吸い込まれていった。
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  1. 2011/09/30(金) 06:37:40|
  2. アルトネリコSS(修正中)
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