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君の知らない玉手箱

溶けそうで溶けない、アイスクリイムのようなブログ。

不思議の国のアリス 二次創作~アリス・イン・ワンダーランド~ 第2話

目を覚ますと、私は草原のような場所に倒れていた。

「生きてる・・・?」

風に揺れる草が私の頬を撫でてくすぐったい。

あんなに深く落ちたのに、身体に外傷はないようだった。

身体を起こして上を見上げるが、果てしない青空が広がるばかりで、
私が落ちてきたはずの穴はどこにもなかった。

「ここは、どこかしら・・・」

未だはっきりしない意識のまま立ち上がった私は、ふと違和感に気づく。

いつのまにか私は、青と白を基調としたエプロンドレスを着ていた。

頭にはリボンを付け、ニーソックスを穿いているその姿は、
まるで御伽噺に出てくるような、メルヘンチックな格好だ。

「私、夢を見ているの?」

周囲を見回すと、遠くにお城のような建築物が見える。

あんな立派な建物、私の街にはなかったはずだ。

お約束で頬をつねってみると・・・痛かった。

「あのウサギはどこに行ったのよ?」

ようやく私は傍にウサギの姿がないことに気づく。

あのウサギは、ここを「不思議の国」と呼んでいた。

絶対、何かを知っているはずだ。

「探さなきゃ」

まずはあのお城に行ってみよう。何か情報を聞けるかもしれない。


<そっちへ行ってはダメよ>


背後からかけられた流暢な英語に、私は踏み出しかけた足を止める。

振り向くと、白いドレスに身を包んだ金髪碧眼の女性が微笑んでいた。

<お城に行ったら、ご乱心の王様に首をはねられるわよ、アリス>

<あなたは誰?どうして私の名前を知ってるの?>

英国に滞在経験のある私は、英語で話すことができる。

でも、なぜだろう、この人からは不思議な懐かしさを感じる。

まるで、遠い昔に会ったことがあるような・・・

<私の名前はレイシー。あなたの味方よ>

そう言うと、レイシーと名乗った女性は、城とは反対の方角を指差す。

そちらに目をやると、木々や草花が瑞々しく生い茂った森が一面に広がっていた。

<あの森の中に住んでいる男を訪ねなさい。あなたに協力してくれるわ>

<あんな辺鄙なところに?>

<ちょっと変わってるのよ。大丈夫、悪い人じゃないから。
 それと、これを持って行きなさい>

彼女が差し出したのは、一冊の小さな本。



「『不思議の国のアリス』・・・?」



私の名前の元になった、アリスという少女の冒険物語。

幼い頃に姉に読み聞かせてもらった記憶があるが、
もう内容は忘れてしまっていた。

本を受け取った私は、パラパラとページをめくる。

見開きの右側のページに文章が連なり、隣のページには
穴に落ちる少女の挿絵が描かれている。

「ん?」

描かれた少女の顔が、私に酷似していた。

二重の瞳や輪郭、果ては目の傍の泣きぼくろまで、瓜二つだ。

そして本の中の、私と同じ名前の少女が着ている服は、
私が先ほどまで着ていた学校の制服だった。

偶然・・・だよね。

ページをめくる。

それ以降のページは真っ白で、何も書かれていない。

本を閉じて顔を上げると、いつのまにか、レイシーの姿はそこになかった。

「・・・・・・?」

足音も立てずにいなくなった彼女を探すが、発見することは叶わない。

代わりに見つけてしまったのは、口を真一文字に結び、血走った目で
私を睨みつけながら近づいてくる、5人の男たちだった。


―――手に持った槍に、赤い液体を滴らせて。


<・・・お前がアリスだな?>

英語で話す、ひときわ体格の良い男が前に出る。

不穏な気配を感じた私は、うわずった声を絞り出した。

<・・・だ、誰よあなたたち?>


その瞬間、私ののど元に、槍の先端が突きつけられた。


「――――――ッ!」

息を呑んだ私は、身体が硬直したように動けなくなってしまった。


<裁判を妨害した罪により、お前を連行する>



<お前は、斬首刑に処されるのだ>



男は淡々とそう告げた。
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  1. 2012/01/24(火) 01:57:05|
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