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君の知らない玉手箱

溶けそうで溶けない、アイスクリイムのようなブログ。

でも、これが私の恋

「みゆき、大きくなったらおにーちゃんとケッコンするの」

何も珍しいことじゃない。

まだライクとラブの違いも分からない初心な少女が、
無垢な想いを血の繋がった存在へ向けただけ。

やがて心身が成長すると兄妹という関係の意味を知り、
兄への気持ちを整理して、いつか現れる異性を愛してゆく。

それが、普通の妹なのだろう。

問題は、私がその例外に位置するということ。

私は・・・妹としてではなく一人の女として、お兄ちゃんを愛している。



窓から差し込む月明かりが、身体を包むワインレッド色の
キャミソールを妖艶に照らしている。

私―――宮川美幸は、深夜の静寂に包まれた暗い廊下を
足音を立てぬよう注意を払いながら進んでいく。

下着から染み出した液体が内股を伝ってくすぐったいけど、
若く瑞々しい身体はすぐに快感へと変換して、
私は無意識のうちに腿をすり合わせていた。

一歩進むごとに、ブラジャーから解放された大きな胸が揺れる。

私は他人より成長と性徴が早く、中学生の頃には
既にモデル並みの魅力的なスタイルを誇っていた。

だから秘かに自分の身体には自信を持っていて、いざという時のために
恥ずかしくないよう、日ごろから入念なケアを行っているのだ。

でもこの身体を見せたいのは一人だけ。

目的の部屋の前にたどり着いた私は、深呼吸をして
ゆっくりドアノブを回す。

鍵はかかっていない。無用心だけど好都合だ。

静かに扉を開けると、お兄ちゃんの匂いが鼻腔をくすぐった。

最低限の物しか置かれていない室内は綺麗に片付けられていて、
私は足音を殺してベッドに近づく。

最愛の人が、小さな寝息を立てている。

闇に慣れた目に映るその顔を見ているだけで、
どうしようもなく胸が高鳴って。

我慢できず、私はお兄ちゃんの隣へ潜り込んだ。

「温かい・・・」

お兄ちゃんに包まれているみたい。

お兄ちゃんの頬を指でそっと突くと、お兄ちゃんはくすぐったそうに
寝返りを打って背を向ける。

「おにぃーちゃん・・・」

背徳的な高揚は、しかしすぐに罪悪感へと変わり、
ぽろぽろと私の眦から涙が零れてきた。

胸が痛い。

こんなに近くにいるのに、こんなにも遠い、お兄ちゃん。

兄妹という、二人を結びつけるはずの絆こそが、鎖となって私を捕えて離さない。

ただお兄ちゃんとずっと一緒にいたい。

そんなささやかな願い事すら許されないなんて。

道を見失って途方にくれる迷い子のように、私はしばらく、泣いていた。



朝。日が昇らないうちから両親は家を出たらしく、二人きりの朝食。

作ったのはお兄ちゃん。私の料理の腕は・・・まぁ、
鍋を爆発させた前科があるという事実から察してほしい。

「うまいか?」

お兄ちゃんが作ったものなら何でも美味しい。でも・・・

「美味しくない。全っ然、美味しくない。お兄ちゃんのへたっぴ!」

「お前に言われたくねぇ!」

つい、天邪鬼になってしまう。生意気な妹でごめんなさい。

「ねぇ、お父さんたちはどこに出かけたの?」

「一週間の旅行だってさ」

「えっ!?私、聞いてないよ!」

「そりゃそうだろ。俺だってさっき知ったんだから」

うちの両親は私たちが成長した今でも仲むつまじく、
私にとって理想の夫婦だ。

まぁ、こんな風に子どもを置いていくのはどうかと思うけど、
私たちを信頼してくれている、ということにしておこう。

「それじゃ、しばらく二人きりなんだ」

「そういうことだな」

「お、お兄ちゃんと二人きりなんて最悪・・・」

「どういう意味だコラ」

言葉とは裏腹に、声が弾んでしまった。

この想いは、断ち切らないといけないのに。

「ねぇ、お兄ちゃんは好きな人っていないの?」

「・・・は?」

お兄ちゃんが目を丸くする。唐突すぎただろうか。

でも、私にとっては大事なこと。

お兄ちゃんを諦める、きっかけにできるかもしれないから。

「妹としては、お兄ちゃんが変な人にかどわかされないよう、
 見守る義務があるわけですよ」

「頼んでねぇ」

軽口を叩きつつも、やっぱり気になってしまう。

そこで、不意にお兄ちゃんが真剣な表情を見せた。

「いるって言ったら、どうする?」

「・・・え?」


「なんてな、ごちそうさん」


食器を台所に持っていくお兄ちゃんの背中に縋るような視線を送る。

「お兄ちゃんのバカ・・・」

私の気持ちを見てくれないお兄ちゃんなんて大嫌い。

なのにおにいちゃんを好きでいることを止められない私は、
どうしたらいいの・・・




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  1. 2015/03/12(木) 00:24:33|
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